ケムリクサの暖かい感じがシュタゲに似ているなと思ったので、共通点を書き出してみました。
ケムリクサは 11 話視聴時点。
シュタゲもケムリクサも、優しく絶望的な世界で、仲間のために自分を犠牲にする、純愛の物語。
ケムリクサは 11 話でお話がガラリとひっくり返ります。
11 話の前までは、少人数パーティーで廃墟になった世界を探索する冒険もののロードムービー的なお話、謎世界サバイブ行程録といった印象でした。
それが 11 話で開示された情報により、全く違う視点が生まれ、実は遠大なラブストーリーだったことが明らかになります。
まだ 12 話公開前ですが、ケムリクサの Blu-ray は 3 巻全て予約しました。
(再生環境持っていませんが。。)
作品の面白さについて
どちらも超面白い、心に深く残る作品です。
シュタゲ | ケムリ |
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超面白い | 超面白い |
物語について
SF ラブストーリー。
信頼し合う関係が築かれており、基本的にギスギスしない。
シュタゲ | ケムリ | |
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ジャンル | SF | SF |
テーマ | ラブストーリー | ラブストーリー |
暖かい世界観 | 仲間は大切。絶対に守る。 | 仲間は大切。絶対に守る。 |
絶望的な世界観 | 死者が出ており、死は避けられない | 死者が出ており、死は避けられない |
ロマンス要素 | 世界線を超えた愛 | 生まれ変わっても続く愛 |
虚構性 | 世界線、タイムマシン | ケムリクサ、異星人による文明保存 |
主人公について
ケムリクサはりんが主人公である面も強いですが、何も知らないわかばを通して物語が進むことが多いので、わかばを主人公としています。
序盤はウザキャラ(ごめん)。
中盤からは頼れる男。
終盤は聖人。
基本的には仲間思いの優しい好青年。
オカリン | わかば | |
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序盤はウザい | 中二病 | 好奇心、ケムリクサアホ |
うざいセリフ | 中二病的セリフ | めっさ気になる〜 |
中盤の信頼感 | 残酷な結末を知りつつ、まゆりもラボメンも大切にしたい | 旅程の要所で大いに仲間を助ける |
終盤は聖人 | 過酷な運命に抗って奔走。まゆりもクリスも助けたい。クリスを救うために深手を負う。 | りんを守って赤い木の犠牲になる。 |
わかばが活躍した場面は、壁広場でりな救出、姉妹の位牌救出、空橋のヌシ戦の作戦立案と防御、車輪の入手、橙から巨木の情報入手、藍ちゃんの入手、壁の入り口を作る、地下の赤い根の発見、赤い根の探知、地図の入手、白ムシを仲間につけて赤い根の切断、壁の中のヌシ戦、記憶の葉からの情報入手、りんを赤い木から防護など、多数。
研究者であるワカバはさらにオカリンに近い。
オカリン | ワカバ | |
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仕事 | 理系の大学生・タイムマシン研究者 | ケムリクサ研究者・文明の複製 |
服装 | 白衣を纏う | 白衣を纏う |
外見 | 短髪、痩身、猫背気味 | 短髪、痩身、猫背気味 |
性格 | 優しくて思いやりがある | 優しくて思いやりがある |
父性 | まゆりの保護者 | りりの保護者 |
性質 | 変人を装っている | 研究者の悪い癖が出る |
作業場所 | ラボと秋葉原 | 空飛ぶ巨大重機とりりのいる高台 |
キーデバイス | 携帯電話 | スマホ風の操作ができるケムリクサ |
事件 | クリスとタイムリープマシンを作ってしまい組織に狙われる | りりが善意から赤い木を作ってしまい襲われる |
自己犠牲 | 危険なタイムリープを繰り返す。クリスを助けるために傷を負う。 | 緑の木を産むために自分を犠牲にする |
救命 | クリスを 2 度救う(一度目は偶然 D メールで救出、二度目は命懸けで世界線を越える) | りりを 2 度救う(一度目は偶然水の中から救出、二度目は命懸けで赤い木から守る) |
ヒロインの命を救っているところが主人公的ですね。
偶然ヒロインの命を救ったことが出会いのきっかけとなり、その後で改めて命を救っているところも共通しています。
ヒロインについて
キャラクター造形はクリスとりんに共通性があります。
芯の強さがある一方で、苦しみも背負っている。
クリス | りん | |
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好奇心旺盛 | 実験大好きっ子 | 知らないところを探検するのが好き |
本当は繊細 | 泣くシーン | 泣き虫 |
悩み | 父との断絶、自分の死の運命 | 仲間が犠牲になった |
序盤は主人公に強く当たる | 主人公が変人のため・・・。海馬に電極ぶっ刺す。 | 主人公が危険なムシである可能性があるため。処理。 |
中盤から主人公を信頼 | 運命に抗う主人公を強力に支える | 「お前も含めてな」 |
主人公を好きになる | 名前を呼ばれて嬉しい。気持ちを伝えるためにラボに引き返す。 | 記憶の葉を取り出しても毒が消えない |
外見 | 赤茶色の髪 | 赤紫色の髪 |
声質 | 低い声 | 低い声 |
物語のキーパーソンとしての位置付けはクリスとりりが共通しています。
天才的な才能が発揮された結果、全く意図しない悲劇が生まれてしまう。
クリス | りり | |
---|---|---|
才能 | 父より優秀な科学者 | ワカバの想像を超えたケムリクサの使い方を編み出す |
保護者 | 喪失(自分がきっかけとなり絶縁。原因は父の嫉妬。) | 喪失(自分がきっかけとなりワカバと生き別れ。原因は赤い木の猛威。) |
事件 | 好奇心からタイムリープマシンを完成させ、組織に狙われる | ワカバへの心配から赤い木を作り出し、襲われる |
行動方針 | 問題は科学的、論理的に解決。オカリンには無理をさせたくない。 | 問題はケムリクサで解決。ワカバには無理をさせたくない。 |
自己犠牲 | 世界線を元に戻すことに協力し自分は消える | ワカバを助けるためにケムリクサになって自分は消える |
料理 | 手料理をラボメンに振る舞う | 手料理をワカバに振る舞う |
主人公を助けるために自分を投げ出せるのがヒロイン力ですね。
敵について
悪意を持った敵というより、超自然的な力が脅威となります。
シュタゲの場合は、セルンが関与していなくても悲劇的な運命から逃れられない。
シュタゲ | ケムリ | |
---|---|---|
人知を超えた力 | 世界線 | ケムリクサ |
人知を超えた敵 | 世界線の収束 | 赤い木、赤霧 |
相手が人間ではないため、感情論での解決はできず、手詰まり感が高まります。
一方、「敵にすら悪意がない」世界というのは重要な共通点であるように思います。
主人公たちの目的は、悪を倒すことではなく、仲間を守ること。
サブヒロインについて
これらは特に珍しい設定でもないので、蛇足として・・・。
シュタゲ | ケムリ | |
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サブヒロイン | ラボメンガールズ | りん以外の姉妹 |
包容力 | まゆり | りつ |
語尾が特徴的 | のです | にゃ、ナ |
猫耳 | フェイリス | りつ |
元気 | 鈴羽 | りな |
武闘派 | 鈴羽 | りょう |
ケムリクサ 12 話視聴後の追記
最後にヒロインは主人公に想いを伝える。
ラブストーリーは詳しくないですが、ヒロインの側からもはっきりと気持ちを伝えるのは良いですね。
クリス | りん | |
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前振り | 先にオカリンから想いを告げられている | りりの記憶や姉妹の後押しあり |
告白 | 「私も岡部のことが・・・」 | 「好きだ」 |
一方、どちらも二人目のヒロインは完全には救済されていない。
切なさが残ります。
シュタゲ | ケムリ | |
---|---|---|
正ヒロイン | クリス | りん |
正ヒロインの扱い | クリスは救出されて主人公と結ばれた | りんは窮地を乗り越え、自分の「好き」を見つけて主人公と結ばれた |
もう一人のヒロイン | まゆり | りり |
もう一人のヒロインの扱い | まゆりは、主人公の必死の努力により生命を助けられた。オカリンを助けることができた。 | 赤い木が倒され、りんがわかばと結ばれたことは、りりが達成したかったことの変奏であり、目的は遂げられた |
作品内で救いきれなかったところ | まゆりは主人公とは結ばれない | りりはりりとしてワカバに再会できなかった |
なぜ作品内で救えなかったか | オカリンがクリスと結ばれたため | りんはりりではなく、わかばはワカバでもないので、りりが再登場する余地がない |
りりはエンディングでシルエットの形でワカバと再会できていますが、蜃気楼のような、淡い幻想のような演出で、現実なのか願望なのか明確にはなっていません。
りんはりりから生まれてりりの影響下にあるものの、りんとりりとは別人格で、今作の主人公はりん。
そして、りんの「好き」は、りりの「好き」を受け継いではいますが、最終的には、りんが自分で見つけた、りんだけのもの(記憶の葉を外しても毒は消えない)。
りりの救済を実現するのであれば、別の作品が必要そうに思います。