回収されたと思っていた小ネタが、実はより大きな話の伏線だったという構成

物語を読んだり、聞いたり、作ったりする時に、伏線が綺麗に決まると気持ち良い。

伏線を綺麗に気持ちよく決めるには、伏線であることを受け手に意識させてはいけない。
伏線であることを意識させないためには、その出来事自体を忘れさせる必要がある。

出来事を忘れさせるにはいくつか方法があって、一つはインパクトの小さい出来事にすること。
もう一つは、その出来事が発生してから伏線の回収まで時間を置くこと。

ただ、インパクトの小さい出来事を伏線にするにはリスクがある。
受け手が完全にその出来事を忘れてしまっていたら、伏線を成立させることはできない。

時間を置く方法はよく使われていて、物語の最初に発生した出来事が実は話のオチに繋がっていたという構成は良くある。
この構成だと、お話が環のような構成になって、とても綺麗。
場合によっては、お話の中の世界が永遠に続くような印象を与えることもできる。

ただ、この場合も欠点があって、いかにも意味がありそうなエピソードなのに、その場で回収されないと違和感が発生する。

その欠点を解消する方法が、「回収されたと思っていたけど実は回収されていなかった」構成。

伏線となる出来事が発生した時に、当たり障りのないオチをつけておき、このエピソードは一旦終わったと思わせる。
その出来事を終盤の大ネタで同じように繰り返して、実は伏線は回収されていなかったことを明らかにする。

最初のオチは多少ネガティブなもの(失敗だったり、勘違いだったり)であるとなお良い。
その場合は、結果をひっくり返したものを最後のオチにすると、さらにカタルシスが大きくなる。

物語を作る場合は、エンディングの構成を決めてから、それに合わせてオープニングを作成すれば、少なくとも一つの伏線は張れるということになる。

この構成のお話はたくさんあって使い古されている感じもするけど、実際綺麗にお話が落ちるのでとても良い。