ケムリクサ BD 1 巻見た(ケムリクサのテーマについて)

ケムリクサの BD 第 1 巻、見終わりました。
スタッフのオーディオコメンタリーで一番印象に残ったのは、ケムリクサは(作りたいというより)自分たちが見たいという気持ちで作っているということ。

一般に、よくある創作の動機は、「作ったものを褒めてもらいたい」という承認欲求的なもの。
自分の技術を見せたいとか、アイデアを褒めてもらいたいとか。

その欲求を満たすためには、外の人がどれだけ評価してくれたかが大事。
いいねをたくさん押してもらえるとか、たくさんの感想をもらえるとか。
認めてもらえなければ、モチベーションは上がらないし、続けていくことは難しい。

あるいは、ビジネスの目標を達成するために制作をする場合もあるかもしれない。
今はこういうものが売れ筋だから作りましょう、ユーザに受けるものを作りましょう。
市場にはこういうニーズがあります、お金は大事ですよね。
自分のスキルであれば、こうすればペイするかななど。

ただし、一度予測を読み違うと、誰にも何も残らなくなってしまう。

一方で、ケムリクサの制作の動機は、「自分たちが見たいから作った」。
好きなものが形になること自体が、制作の大きな目的。
創作のエネルギーは自分たちの中から湧いてきて、多少の障害があっても自律的に進んでいく。
たとえ、お客さんの受けが多少悪かったとしても、ビジネス的にそこそこだったとしても、作る理由は無くならない。

へんたつの焚き火の話でも、自分たちが楽しむために作っていたものが、お客さんに認められて広がっていったという話がありました。

へんたつ フル版 - YouTube

そういうところがクリエータとして良いなと思います。

その上で、キャリアやビジネスとしても大成功しているのは、本当に素晴らしいなと思います。

ただ、自分たちの欲求で駆動していく創作活動にも弱点はたくさんあります。
例えば、作りたいものを思うように作るアイデアが浮かんでこない(才能の限界、スランプ)とか。
自分の創作が誰かに強く否定されてしまい、挫折を味わったとか。
欲求が枯れてしまったとか、モチベーションが湧かなくなってしまったとか。
集団で創作する場合は、存分に腕を振るえるような仲間が得られないとか。
資金面などの要因により、安心して創作できる環境が確保できないとか。
方針の違いにより、活動が継続できなくなるとか(音楽性の違い的なやつ)。
他にもたくさん。

そういった障害があるからこそ、自分の「好き」をきちんと見つけて、それを離さないことが大事。
それを確認するために、苦しみを背負いながらも、仲間の後押しを得て「好き」を見つけたりんの物語が作られたのかなと思いました。