SHIROBAKO 後半見た

とても面白かった!
お話が終わってしまったのが寂しい。

最終話を見て、自分の仕事について少し考えました。
自分も好きだからこの仕事をしているということ、少し高い位置から見る段階ということ。
良いお話だなと思いました。

作品的には、後半のクライマックスは、おそらく、ズカちゃんのアフレコシーン。
主人公 5 人のうち 4 人が同じ作品に参加している一方で、ズカちゃん一人だけが足踏み状態で、前話では闇落ちしかけてもいた。
ズカちゃんには作中でスポットが当たることも少なく、視聴者的にもずっと我慢して待ち望んていたシーン。

SHIROBAKO 後半の作劇上のキーも、ズカちゃんの解決を最後まで留保したことかなと思います。
視聴者視点だと、ズカちゃん早く楽になってほしい、うまくいってほしいって全員が思っていたと思うので。

ただ、個人的には、アフレコシーンのセリフがあまりにも綺麗にスコーンと決まりすぎていて、イマイチ感動の波に乗れなかった。
ズカちゃんは主人公の一人なので、役が取れることが織り込み済みというのもあったかもしれない。

むしろ、そのあとエマが録音を聴いて一人で涙するシーンが心にグッときました。
ズカちゃんの苦しみが報われたことに加えて、それを応援していた側の喜びを描くことで、重層的な感動が生まれ、涙腺が緩みました。
他者の苦しみを自分のことのように苦しみと感じ、相手を心から思いやり、その成功を祝福することが感動的でした。
しかもデスクで一人で泣くのが良い。
今思い出しても心が動かされます。
個人的にはこの作品のベストシーンの一つ。

エマと言えば、母親にに電話で自活できそうであることを話したシーンも良かった。
やはり生活が大変な仕事というイメージがあるので。
リエータは報われてほしい。

後半を通してでは、平岡の再生のお話がとても良かった。
頑張っても結果に繋がらない、思ったように周りに認めてもらえない、周りの人間が自分の利益しか考えない。
自分も似たようなことを経験したことがあるので、気持ちはよくわかりました。

作品内でも平岡の話は時間をかけて描いていたし、一番力を入れていたエピソードの一つかなと思いました。
世の中には酷い人はいるし、人を見て態度を変える人もいるので、やる気の空回りしている若者が闇落ちする気持ちは良く分かる。
そういうのは、結局そういう人たちから距離を置くことでしか解決しないので、最終的にムサニに来れて良かった。
心に夢を抱いた人が前に進めないのは悲しいので。

タローが表彰するシーンはとても良かったです。
平岡、これからも頑張ってほしい。

作品的にも、他人と共同で仕事をすることのネガティブな部分が描かれて、深みが増したお話だったと思います。

やや残念だったのは、後半のお話は明確に悪役を設定していたこと。
出版社の側も、彼らなりの正当な理由を持って動いていて、それで主人公たちと相克するという話の方が良かった。
単に担当編集がダメ人間でしただけだと、話としてはちょっと軽い。

それと、ナベ P の仕切りが悪すぎる。
原作者とアポイントを取れないのはちょっと理解できない。
創作物語的には、原作者の知り合いを探して、原作者との非公式な会合を設定してもらうのが定番の流れ。
現実世界のお話であれば、きちんと文書を取り交わして合意を形成すべき話。
出版社の側のガードが固いとしても、ステップを踏んで交渉材料を作ることはできるはず。
キャラデザやコンテを渡す時に、ムサニ側の状況や要求事項を織り交ぜることもできたはず。
そこらへんが一切描かれていないのは不自然に感じました。

その他にも、ほぼ新人のあおいをデスクにせざるを得ない状況を放ったらかしたり、前作の布陣で製作することを条件にして話を取ってきたことをデスクに伝えていなかったり、絶賛闇落ち中の平岡を評判を確認せずに採用したり(採用を担当したとは明示されていませんが)、トラブルの多くはナベ P の責任のように思えます。
作劇上の都合だと思いますが、ちょっと酷いかな。

作品としては、勉強になったし、描かれているテーマも素晴らしいし、笑いもあり、感動的なシーンもたくさんあり、とても良かったです。
映画も楽しみ。